現代社会において、高齢者は往々にして「面倒をみてもらわなければならない」弱者として見なされがちで、異世代との交流の機会や社会に貢献する役割を失いつつあります。ワシントンDCの非営利団体「Ibasho」のメンバーらは、被災地を訪れた時に、震災時の逃げ場や生き延びる方法を若い世代に伝え、多くの命を救った高齢者のエピソードをたくさん耳にしました。また、被災した方々から「国内外からの支援に心から感謝していると同時に、できるだけその恩返しをしたい」という多くの声を聞きました。「居場所ハウス」には、震災を生き延びた高齢者を勇気づけ、地域の復興の過程で「頼りにされる存在」として、多様な世代の人々をつなげる役割を担って欲しいという願いが込められています。
このような経緯をふまえ、長期的な視点からの被災地の復興と、高齢者を中心とする地域の方々の暮らしを支援をする場所として提案されたのが「居場所ハウス」です。
建設資金は、アメリカの空調設備関連の企業である「ハネウェル社」の社員の方々からの募金により全額寄付されました。オープンまでにアメリカの非営利法人「Ibasho」、国際NGO「オペレーションUSA」、及び、社会福祉法人典人会、北海道大学建築計画学研究室、内閣府「SEEDx地域未来塾」をはじめ、多くの方々の協力を得て、現在は末崎町の住民を中心とする特定非営利活動法人(NPO法人)居場所創造プロジェクトが運営を担っています。
「居場所ハウス」は、ワシントンDCの非営利団体・Ibashoが提唱する8つの理念をベースに運営しています。
平成25年3月に特定非営利活動法人(NPO法人)居場所創造プロジェクトとして認可されました。「Ibashの理念」に共感する地元末崎町のスタッフを中心として、伝統文化や昔から伝わる知恵、知識を次世代に継承し、活かしていきながら、震災後の地域づくり・あたたかな居場所づくりを目指しています。今後、「居場所ハウス」周辺には災害公営住宅、防災集団移転が行われるため、高台移転後の暮らしを支援することも期待されています。末崎町のみなさまのご協力をいただき、末崎町の財産となるよう、より良い居場所にしていきたいと考えています。